銀行員 オワコンから新たなスタイルへ
金融機関である銀行が“オワコン”と称される現代。
しかし、私の考えでは銀行が”オワコン”とは考えていません。
“オワコン”と評されるよりも、
現在は、銀行が新たな形態へと移行する転換期と捉えています。
その新たな形態とは、従来の大量の従業員と多店舗体制を活用したスケールメリットを追求する戦略から、
少数の専門家による精緻な戦略を立て、それを遂行する形へとシフトしていくことを意味しております。
本稿では、実務を経験した視点から銀行がオワコンといわれる理由を説明いたします。
10年以上の銀行員経験を持ち、メガバンクで資産運用から金融商品の提案・販売まで多岐にわたる業務を経験。証券外務員一種二種に合格し、ファイナンシャルプランナーとして1000件以上の相談に対応。その専門性と信頼性で読者に役立つ情報を提供します。
銀行がオワコンといわれる理由 ネット銀行の台頭
インターネット銀行の利点
コスト効率性が高い「デジタルプラットフォーム」による手続きの「手軽さ」「魅力的な商品ラインナップ」
年齢が若い層ほど、インターネット銀行の利用頻度は高まる傾向がみられます。
対面式の金融機関では手数料が数百円する場合でも、インターネット銀行では無償や安価で手続きが可能となるケースがあります。
店舗への直接訪問は必要なく、スマートフォンやパソコンを利用したオンライン手続きが可能。
これは、平日の日中に対面式の銀行へ訪問することが難しい若年層にとって理想的な条件となります。
したがって、若年層がインターネット銀行を選択する理由は納得に値します。
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銀行がオワコンといわれる理由 ネット銀行+ネット証券の利用者増加
デジタル金融時代において、同一の金融グループ内でインターネット銀行とオンライン証券を共に活用する例が増加しています。
同じ金融グループに属するインターネット銀行とオンライン証券のサービスを活用する場合、お金を移動する際の所要時間が大幅に短縮されます。
これは、銀行の内部的な送金プロセスを利用できるため、別々の機関間で資金を移動するよりもスピーディーになります。
また、同系列のサービス間では、取引手数料が免除される場合や、少なくとも割引が適用されることが多い。
これらは、顧客に対するサービス向上やロイヤリティの強化を目指す金融機関の取り組みの一環と言えます。
これらのメリットにより、ユーザーが同一グループのインターネット銀行とオンライン証券を一体的に利用し、さらにそれらを主要な銀行として位置づける例が増えています。
そのため、「銀行がオワコンになる」という風潮に対抗するひとつの手段ともなっています。
これは、従来型の金融サービスがデジタル化により変革を遂げ、ユーザーがより便利で効率的なサービスを求める現代の動向を反映しています。
銀行がオワコンといわれる理由 ネット証券の新規上場株(IPO)は好評
メリット
新規上場企業の株式を上場直後に売却することで、利益を上げる可能性がたかいといわれています。
新規公開株、あるいはIPO(Initial Public Offering)は、インターネット証券を通じて投資を行うことが可能です。
ここでIPOについてすこし説明させていただきます。
新規公開株は、通常、各証券会社の特定の顧客に対して優先的に購入する機会が与えられる仕組み。
利益を上げる可能性が高いとされている一方で、投資可能な金額には制限があります。
なぜなら、新規公開株は高い利益を見込むことができるため、多くの投資家からの強い需要があります。
しかし、全ての投資家が利益を上げるわけではありません。
それは投資家全員が欲しがるものには、必然的に競争が生じるからです。
仮に、証券会社を通じて新規公開株に申し込み、購入する権利を得られた場合、それは幸運と言えるでしょう。
一部の大規模な新規公開株(企業が大量の資金調達を望む場合)では、必ずしも高い利益を生むわけではなく、損失を出す可能性も存在します。
このようなリスクを回避するために、購入しやすい新規公開株は慎重になることが必要です。
新規公開株が利益を上げやすいのか、それともリスクが高いのかを判断する一つの方法として、インターネット上にある予想サイトを参考にすることができます。
「IPO 初値予想」を検索することで、多くの予想サイトが表示されます。
ただし、これらの予想サイトの結果が必ずしも正確であるわけではありませんので、ご注意ください。
投資は常にリスクを伴います。それぞれのリスクについて十分に理解し、慎重に投資判断を行うことが重要です。
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デメリット
インターネット上で証券の取引をするときには、専門の担当者がつく可能性があります。
各証券会社における担当者には、支店に設けられた目標(ノルマ)と、個々の営業担当に課されたノルマがあります。
この結果として、取引が頻繁な顧客に対し、自身の目標達成を促進する商品を販売する傾向があります。
確かに、新規公開株(IPO)のように利益を生む可能性が高い商品を優先的に紹介するメリットもあります。
しかし、新規公開株を除くと、利益を生む可能性が低い商品が紹介されることも。
株や投資信託が価格上昇するのか、それとも価格下落するのかは、証券会社の担当者が毎回あてることはできません。
更に、証券会社の担当者は商品を販売するため、情報を独自の視点で解釈し、商品が価値のあるものであるかのように紹介してくることもあります。
まるで道端に落ちている石を、非常に価値の高い宝石のように売り込む、そんな光景といえるでしょう。
銀行員を辞めて【よかったこと】【後悔したこと】をまとめてみました。
銀行がオワコンといわれる理由 【住宅ローンがもうからない】
銀行では、その主要な商品ラインナップに住宅ローンがあります。
インターネット銀行では「申請から契約」まで、インターネット上でできます。(一部の手続きはネット上だけではできないケースあり)
しかし、おおくの銀行では住宅ローンの利子のみではおおくの収益を確保できず、銀行にとって住宅ローンは一昔前に比べて、おおきな収益源とは言いづらい状況です。
オンラインを通じて手続きを行うことで、対面でのサービスでは提供困難な低金利・低コストの住宅ローンが手に入るという利点があります。
また、住宅ローン以外にも、定期預金のキャンペーン等を展開しているインターネット銀行もあり、その便利さから他の銀行を利用しなくなる方も増えています。
具体的に、以下のような住宅ローンの例があります。
変動金利:0.3%
期間:35年
総返済額:3,150万円
利息:150万円
(※金額は目安で、元利均等返済、変動金利のケースを想定。諸費用、保険等は含まず)
このケースでは、35年間にわたって利息150万円だけで3,000万円を借りられます。
さらに、一括返済を行えば利息はさらに少なくなります。
数十年前に比べて、一昔前の銀行業界では住宅ローンが主力商品でしたが、現在ではその収益は限りなく低くなっています。
一方、大手銀行では、店舗長の裁量で住宅ローンの金利を引き下げることができるため、利益度外視で住宅ローンを行っているという話も耳にしたことがあります。
地域のシェア獲得が一つの目的である一方、銀行間での競争が利益を削る結果になっており、それが利益を圧迫する行為となっているのです。
以上から、昔ながらの銀行業務がオワコンとされる一方で、ネット銀行がその地位を急速に確立している現状が見て取れます。
これは、インターネット技術の進化とともに顧客のニーズが変化した結果と言えるでしょう。
借りる金額 | 変動金利 | 期間 | 総返済額 | 利息 |
3,000万円 | 0.3% | 35年 | 3,150万円 | 150万円 |
*金額は概算。元利均等返済。変動金利。諸費用、保険等考えず。
銀行員はお金を増やす知識が豊富?
金融の専門家である銀行員は、おかねの管理について長けているとおもわれがち。
具体的には、収入と支出のバランスを理解し、月々の給料を適切に貯蓄に振り分ける。
また、高い利子を生む借入に対する慎重さや、税制上の利点を活用するための知識を豊富に蓄えています。
このようなお金の管理の能力は、銀行員が主に持つファイナンシャルプランナーの資格によるものです。
その上、毎日の業務を通じて金融の知識が自然に身につき、資金の管理が巧みになります。
それでも、資金を増やす能力に関しては、銀行員も制約に直面します。
投資信託の価格動向の予想、円安になる可能性の予想、あるいは政府の政策方針の予見が難しく、これらを頼りにお金を増やすことは困難。
しかし、一般の人々と比べて、銀行員は給与削減のリスクが低く、浪費する傾向が少なく、お金を管理するための方法をよく知っています。
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銀行がオワコンといわれる理由「従業員 自然減」
メガバンクは従業員をリストラしないかわりに新卒者の数を減らしています。
新卒者の数 < 退職者
ぜんたいの従業員の数をへらしています。
定年退職とともに従業員の数は自然と減っていきます
“自然現象”という戦略の終わりまでにはおおくの年数がかかり、その間は報酬の向上が見込みづらい状況かもしれません。
このような困難な局面にある銀行業界にあえてはいる理由はなんでしょうか。
私が銀行員を辞めて後悔したこと、辞めてよかったことを書いています。もし、転職して銀行を辞めたいと思ったらこの記事を読んで…
銀行がオワコンといわれる理由 ポスト(役職)
全国規模での支店の減少は、役職の枠を減少させることを意味します。
この”役職の減少”というのは、各支店における重要なポジションである支店長、副支店長、課長といった役職が減ることを意味します。
昔に比べて、役職が減る分、支店長の地位を手に入れられるはずだった銀行員が、今ではその地位に就けないといったことも考えられます。
目次 1 銀行員の出向2 銀行員の出向 キャリアアップ目的の出向2.1 20代 上司から指示された出向2.2 20代~3…
ニュース
三菱UFJ、三井住友、みずほのメガバンク3行が2023年春の新卒採用計画数を今年春から13%少ない計1100人とすることが分かった。店舗の統廃合や事務の効率化を急ピッチで進めてきたことなどを背景に、5年前の約3200人と比べ、およそ3分の1に抑える。各行ともデジタルなど専門人材の採用を強化しており、争奪戦が激しくなりそうだ。
引用:日経新聞
日本の大手金融機関がデジタルトランスフォーメーション(DX)で人手に頼った業務を削減する。日本経済新聞の調査で、約4万人規模の業務量が浮くことが分かった。支店の事務から営業などに配置転換する。雇用の維持を前提とする日本は人材の再教育が生産性向上のカギを握る。大胆に人を入れ替える米銀と比べると、再教育の効果が出るには時間がかかる。人材の流動性を高める取り組みも課題となる。
引用:日経新聞
店舗削減 人員削減のペースがおそい
すこし前の話ですが
メガバンクのひとつで
その結果、人員は6万人から4万人になる
月末までに○千万円獲得必須!
期末までに△△の項目を100%達成!
××の項目は120%達成!
- 銀行に対していいイメージがない
- 他の銀行へかわった
という方もいます。
担当者には
目先の結果を求める割に、銀行は10年という長い期間で対応します。
銀行は対応の遅さがオワコンといわれる理由のひとつです。
副業推奨ではない
副業を認めることは従業員にプラス。
時代のながれとしても銀行にとってプラスといえるでしょう。
しかし、副業として認められるものが制限される場合があります。
認められる副業が銀行にとってプラスにならなければならない。
銀行の業務とは関係がない副業は認められないことがあります。
プライベートな時間を副業につかうのに副業の制限をうける意味がわかりません。
副業を銀行のためにしろという、銀行の上から目線なかんじがします。
FinTech
米グーグルが日本で金融事業に本格参入することが8日までにわかった。国内のスマートフォン決済会社を200億円超で買収し、インドや米国に続き日本でも2022年をめどに自社グループで送金・決済サービスを始めるもようだ。巨大IT(情報技術)企業の参入で金融と異業種の合従連衡が一段と加速する。
引用:日経新聞
日本の銀行の動きが遅いため、グーグルが日本に参入したとも考えられます。
ちなみに
今の銀行員に
「あなたがもし、就職活動中の大学生だったら、IT業界と金融業界のどっちにいく?」と聞いてみてください。
間違いなく
「IT業界」を選ぶ銀行員が過半数をとるでしょう。
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個人的な感想
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私の個人的な感想は以上のようになります。
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銀行がオワコンということへのまとめ
「銀行がオワコン」ではなく、むしろ「オワコンではなく大きな転換期にある」と考えています。
これから銀行業界に進出する方々に対しては、銀行の厳しい状況を立て直すという達成感や、銀行が改革後の良好な労働環境で働くというメリットを示すことができるかもしれません。
ただし、強く銀行で働きたいという志向がなければ、厳しい状況が続く銀行業界に足を踏み入れる必要はないと思います。
あくまで銀行での勤務にこだわるのであれば、銀行が立て直しを果たした後に銀行に転職するという選択も考慮に入れるべきです。
その時期には、採用の機会も増えているはずです。