銀行員は株取引をほぼ禁止
銀行員が株取引を禁止されている主な要因
- 社内規則
- インサイダー取引規制
- 証券会社独自の取引制限
が挙げられます。
とはいえ、銀行員は
- (制限された中での)株式取引
- (持ち株会を通じた)じぶんの会社の株をかう
- 外貨預金
- 投資信託
- 生命保険
といった投資が可能。
そのため、銀行員は「株取引を禁止されているのではなく、制限されている」という表現が正しいです。
実際に銀行員の中には、自社株を含めて他社の株を持っているひとも。
ただし、銀行や証券会社など以外に勤務している人よりも取引内容に制限があります。
10年以上の銀行員経験を持ち、メガバンクで資産運用から金融商品の提案・販売まで多岐にわたる業務を経験。証券外務員一種二種を合格し、ファイナンシャルプランナーとして1000件以上の相談に対応。その専門性と信頼性で読者に役立つ情報を提供します。
社内規定で銀行員の株取引が制限
就業時間内での株取引禁止
会社の規定により、株取引が制限されている場合があります。就業時間内の株取引とは、従業員が勤務時間中に個人的な投資目的で株式市場で取引を行うことをいいます。
- 銀行では、就業時間内の株取引が社内の規定違反に繋がる場合があります。違反が発覚した場合、従業員は罰則を受ける可能性があります。
- 労働生産性の低下:銀行員が勤務時間中に株取引に時間を費やすことで、「仕事に集中できない」「仕事をする時間を個人的な株取引の時間として使ってしまう」ことから、生産性の低下につながる可能性があります。
- インサイダー取引に関わるリスク:銀行では、就業時間内外に問わず、株取引がインサイダー取引にあたる場合があります。インサイダー取引に該当した場合、銀行員は罰則を受けることがあります。
インサイダー取引とは、一般に公開されていない情報を利用して、株式やその他の金融商品を売買する違法な行為です。これには、企業の重要な財務情報や業績、企業の取引や提携に関する情報など、一般投資家がアクセスできない情報を利用した取引を行うことが含まれます。インサイダー取引は、株式市場において公平性と透明性を損ない、投資家の信頼を失墜させるため、多くの国で厳しく規制されています。
銀行は営業担当者をとおして、上場企業の情報がはいってくる場合がありますね。取引先企業の担当者以外は重要な情報を手にする機会はほぼありません。それに加え、企業を担当している銀行員も重要な企業の情報を何も考えずに、同僚等に話すこともほぼありません。
ないない尽くしですが、銀行員として働いている以上、「公開されていない情報が知らずに入ってくる可能性がある」「未公開の情報を知りえることができる」ので、銀行員は気をつけなければいけません。
インサイダー取引は以下のような結果をもたらします
- 市場の公平性の損失:銀行員が非公開情報を利用して利益を得ることで、他の投資家との間に情報格差が生じ、市場の公平性が損なわれます。
銀行員は有利な立場を利用して、株で利益を得ているなんて言われてしまうかもね
- 透明性の低下:インサイダー取引により、市場における情報の透明性が低下し、投資家が適切な投資判断を下すことが困難になります。
- 投資家の信頼の喪失:インサイダー取引が頻発すると、一般投資家は市場に対する信頼を失い、投資意欲が低下する可能性があります
社内規則をまもれば、株取引をすることができます。
- 株式売買をするために、支店長・上司・本部(人事部・総務部)などの承認を得る
- 「どの銘柄を買いたいか」「どのくらい買いたいか」「株を買う目的」を明確にしておく
- 一定期間株式の売却ができない条件がつく
- 買える株の銘柄が制限される
どうしても株取引をしたい場合には社内規定をこまかく調べましょう。
社内規定を調べる前に「決して株取引をしないように」
インサイダー取引に対する インサイダー取引に対する当局の取組みを要約あおぞら銀行の従業員が、いくつかの企業の株を不正に売買して利益を得るために、法律で禁じられた「インサイダー取引」を行ったとされています。彼らは企業の秘密情報を使って、株価に影響を与える前に取引を行いました。このような行為は金融市場の公正さを損ねるため、厳しく取り締まられます。
詳細を追加します。この事件は2006年12月から2009年4月の間に起こり、あおぞら銀行の従業員が複数の企業の株を不正に売買しました。彼らは、これらの企業との取引で内部情報を得て、インサイダー取引を行っていたとされています。具体的な例として、あおぞら銀行の従業員は、融資契約の情報を使ってGDHの株を買い、公開買い付けの情報を使ってディーアンドエムホールディングスの株を買い、あきんどスシローの株の公開買い付けの情報を使ってエーエスホールディングスの株を買い、ベスト電器の株を売る際にも内部情報を利用していたとされています。
証券会社が銀行員の株取引を一部禁止
金融商品取引法や業界団体の規則により、銀行で働く従業員は投機目的の有価証券取引や信用取引、先物・オプション取引などが制限されています。通常の口座開設手続きは可能ですが、職種によっては一部取引が受け付けられない場合があります。
SBI証券の場合
口座種別 | 銀行員 開設可否 |
---|---|
株式信用取引 | 不可 |
株価指数先物・オプション取引 | 不可 |
カバードワラント取引 | 不可 |
外国為替保証金取引 | 不可 |
EB債・リンク債等の仕組債のお取引 | 不可 |
証券総合口座の開設は銀行員も可能ですが、上記のように一部取引に制限があります。また、部署や職種によってや、投機的売買と判断される場合には、取引制限が適用されることがあります。
銀行員(営業)として働きながら、「もし」株取引をできていたら面倒なこと
株価の上下が気になる
じぶんが保有している株価に関係するような、おおきく出来事があったら業務どころではなくなってしまうかもしれません。また、いつでも株の売買ができるような状況だと、スマホで株の売買をする場面もでてくるでしょう(就業規則により、業務中の売買禁止)
お客さんから株のことを聞かれる
株に興味のあるお客さんから、株のことを聞かれることがあるでしょう。でも、銀行員が株取引をしていなかったら、お客さんから株のことを聞かれることもありません。(銀行員は基本的に個別株のことを説明できない)
株の購入売却の取引のたびに、インサイダー取引を気にしなければならない
インサイダー情報を取得していなくても、仮に疑わしいタイミングで株の売買した企業の情報が流れたら、インサイダー取引を疑われるかもしれません。もやもやした気持ちのまま取引をするのは気持ちよくありません。
もしインサイダー取引になったらニュースネタ
仮にインサイダー取引の認定を受ければ、「銀行員が内部情報を不当に入手し、投資で儲けようとした」と、ニュースに取り上げられるでしょう。
銀行の評判が利用者から下がる。それだけではありません。取引先企業からの評判も下がります。
その結果、融資先からの借り入れ先変更や取引解消へと繋がる可能性が十分にあります。
インサイダー取引に該当したら人事部評価にかかわる可能性あり
インサイダー取引と認定された場合には、人事部にもその事実が伝わる可能性があります。不正は取引をするというレッテルを張られることがあれば、昇格に影響を及ぼすことも考えられます。
まとめ
銀行員でどうしても株取引をやりたい人は
- 社内の手続きを確認のうえ、買える株を買う
- 長期保有で株の値上がりを期待する。短期売買をしない
ことを前提に株取引をしましょう。
同じ銀行内でも、機密情報を取り扱う部署は「株取引が一切できない」場合もあります。
まずは社内手続きを確認!