銀行員の出向
銀行に在籍すると出向は避けて通れません。
出向にはいくつかパターンがあります。
- 自分の明るい未来を切り開くキャリアアップの出向
- 融資や運用商品販売営業以外のスペシャリストになる出向
- 銀行業務以外のことをするため、新たなチャレンジをする出向
- ポストが空いていないために行う出向
この記事では、私が銀行員時代に見てきた「銀行員の出向」のリアルをお伝えします。
キャリアアップ目的の出向
20代 上司から指示された出向
20代で出向になることもあります。
それはどういうケースかというと、上司から行員の将来のことを考えて銀行の関連会社へ出向することを提案されるケースです。
例えば、証券会社、信託銀行がといった会社が代表的な出向先となります。
銀行員はお金を貸したり、運用の案内をするだけではありません。
1人のプレイヤーがマネジメントになるためには限られた業務の知識だけでは足りません。
銀行だけではなく、グループ全体の仕事内容も分かっていることが望ましいとされます。
そのため、本来の業務以外のことを学ぶことが、将来のキャリアアップに繋がると考えられています。
こういった場合には、事前に上司から関連会社への出向を打診されます。
20代~30代 行員が自ら申し出た出向
20代から30代の行員は構内の公募制度を通じて関連会社へ出向できます。
ただし公募制度で関連会社に行けるかどうかは努力次第です。
倍率も高いことから思い通りにいかないケースが多々あります。
公募制度は少なくとも半年に一回あります。
一度、自分が希望する関連会社へ出向できなかった場合、再度挑戦することができます。
しかし、自分が希望する出向先が次の公募にもあるかどうかは分かりません。
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銀行員 50代での出向
銀行で出世を望めない
出世コースからはずれる 仕事ができない銀行員
出向する銀行員の特徴は「将来的に出世を望めない人」です。
これは銀行員の能力的な問題とともに、今後、銀行で就けるポストがないということも理由に挙げられます。
出世コースから外れた銀行員がそのまま銀行内に残った場合、次の世代が上がってくると、その世代に渡すポストがなくなってしまいます。つまりは上が詰まっている状況になります。
特に銀行は人員削減を行っており、支店の数が減っています。支店の数が少なくなれば、当然にポストの数も減ります。
出世コースから外れることは出向という流れになります。
40代50代
40代半ばから50代にかけて、銀行員は出向する年齢となります。
銀行全体の行員の数が少なくなるにつれて、年々、出向する年齢が低くなっています。
これは低い役職の行員だけではなく、支店長レベルの役職でも同様です。
最近では、出向先が少なくなってきているために出向させられずに本部に在籍したままの方も増えています。
出向前研修
40代になり出稿の時期が近づくと、本部主催の出向前研修に参加させられます。
この研修の目的は
- 出向の時期が迫っていることを行員に暗示する
- 出向した後に、収入が激減するため、生活に困ることがないようにライフプランの説明をする
といった内容です。
突然の出向の事例に行員が迷うことがないように、本部ではこのような研修を企画します。
片道切符 島流し
一般的には出向のことを「片道切符の島流し」と呼ぶ傾向があります。
聞こえは良くありませんが、首を斬られての退職ではありません。
今後も継続して銀行から賃金を得られると言う意味では悪いことではありません。
銀行の構造を考えれば、当然のことであり、驚くことではありません。
例外として、片道切符と言われますが出向先に馴染めなかった場合には銀行に戻ってくることもあります。
20代で出向させられたケース
20代で出向させられた行員もいます。
それは、キャリアアップでも上司からの推薦でもありません。
通常の業務に問題があるため、若くして関連会社に出向させられました。
なんといっても、銀行の他部署ではなく関連会社に出向したことが大変、衝撃的でした。
銀行内でも仕事を振ることができない行員は若くして関連会社に出向することががあります。
このケースは極めて稀です。
大学生が銀行にはいる前に「とっておいたほうがいい資格」「おすすめ参考書」「資格試験に落ちたらどうなる?」等を説明します。…
出向先
取引先企業
出向先の1つ目に挙げられるのは、銀行と融資関係にある会社です。
銀行と親密にある会社は銀行員を受け入れる場合があります。
最近では銀行員を受け入れる取引先企業が減っており、銀行も出向先を探すのに苦労しています。
もし、支店の営業マンが取引先企業で行員の受け入れ先を見つけたら、本部に報告をすることになっています。
取引先企業は行員を受け入れると、自分たちの会社の経営をより良い方向に進ませてくれると期待します。
ただし、何十年も銀行で仕事をしてきた銀行員は取引先企業に出向しても、使えないと言う評判が多いです。
そのため、取引先に出向した行員は1年も経たずに銀行に戻ってくるケースがあります。
銀行の関連会社
銀行員の出向先は取引先企業だけではなく、銀行の関連会社と言うケースもあります。
銀行の関連会社は支店長レベルの出向先も多くあります。
同じグループ内だと銀行からの出向者は有利な立場になれます。銀行から出向しても仕事をやりやすい環境が多いため、人気が高いです。
銀行員が支店で働いていて、関連会社と共同して仕事をしたり、物品を発注した際に連絡を取った相手がもっと上司だったと言うことも多々あります。
みずほ銀行関連会社
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三菱UFJ銀行関連会社
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三井住友銀行関連会社
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年収
年収は銀行在籍時の半分近く
出向をすると収入は半分に分近くまで下がります。
人間は生活水準を下げる事は難しいです。
そのため、月々の収入が半分近くまで下がると、支出の見直しを迫られます。
旅行の頻度や、旅行の場所、高級店への外食、娯楽品の購入、ゴルフへの行く回数。
今まで普通に行ってきたものが突然にできなくなります。
半沢直樹
ドラマ半沢直樹で出てきたような、銀行上層部の役員から疎まれ塾講させられるような言葉あまりありません。
そして、銀行上層部を見返すために、反旗を翻すようなこともありません。
人事部から出向命じられたらおとなしく従います。
まとめ
出向という言葉に対して、良いイメージはあまりなかったと思います。
しかし、銀行にとっては必要なシステムであり、銀行員はそのシステムを理解しています。
そのため、銀行員は若いうちから休日を返上して資格の勉強をして、平日は営業で実績を上げてアピールします。
この出向と出世コースから外れないということが
銀行の仕事は激務であり、ストレスを伴うというイメージに繋がっているのかもしれません。